装束について
僧侶の装束
僧侶の装束は、装いであると同時に、その僧の宗門と位階を示すものです。色は僧階を、紋は宗門を、種別は法要や場面を表します。インターネット上では「法衣」と「袈裟」がしばしば混同されていますが、本来これらは別のものです。当総本山が、その正しい姿をお伝えします。
装束が示すもの ―― 色・紋・種別
僧侶の装束は、三つのことを物語ります。色は僧階を、紋は宗門を、種別は法要や場面を表します。僧侶は好みで法衣や袈裟を選べるものではなく、宗門の規則によって、纏うことのできる装束が定められています。
頭 ―― 被り物
- 宝冠帽(ほうかんぼう)― 道教真言宗では、伝法阿闍梨位を取得した者に授与されます。法要の際に着用します。
- 燕尾帽(えんびぼう)― 道教真言宗では、僧正の位にある者が、儀式や法要の際に着用する帽子です。
衣(ころも)
- 改良衣(かいりょうえ)― 僧侶が日常的に着用する略式の法衣。動きやすく機能的で、黒や紺などがあります。
- 空衣(くうい)― 山内での平常着として着用します。
袈裟(けさ)
袈裟は仏教の象徴であり、その色は僧侶の位階を表します。
袈裟の種別
- 如法衣(みょうほうい)― 通常の寺務に用います。
- 五条袈裟(ごじょうげさ)― 五枚の布からなる略式の袈裟。所属する宗門の紋が入ります。法要や季節によって種別があり、たとえば得度式では白色の紋付五条袈裟を用います。
- 折五条袈裟(おりごじょうげさ)― 五条袈裟をさらに簡略化し、首から掛けて用います。
- 七条袈裟(しちじょうげさ)― 読経や法会など、正式な儀式の際に左肩から右脇にかけて着用する最高位の礼装です。僧階が上がるごとに金襴のものを用い、法要によって指定されます。僧正の位にある者が着用することが多い装束です。
色が示す僧階
袈裟の色は、僧階の高い順に、緋色・紫色・緑色(萌黄)・水色(浅黄)・茶色と定められ、自らの僧階より上の色を着用することはできません。緋色は最高位の色であり、大僧正に許されます。
宗門の紋
五条袈裟には所属する宗門の紋が入ります。道教真言宗総本山 天保山慧尊院の紋は、桔梗紋(ききょうもん)です。
履物(はきもの)
- 下駄(げた)― 古来、穢れから足を遠ざけ、清浄を保つための神聖な履物とされます。山内での日常や、作務(清掃・水回りなどの労作)の際に用います。大僧正は緋色を履きます。
- 草履(ぞうり)・雪駄(せった)― 儀式や法要、外出時に、白足袋と法衣に合わせるフォーマルな履物。法務に用います。厳粛な場では、足音を立てぬよう、鋲を打たぬ静音のものが選ばれます。
- 雨草履(あまぞうり)・時雨履き ― 草履に透明の覆い(つま掛け)を備え、雨や泥から白足袋と法衣の裾を守ります。
- 浅沓(あさぐつ)― 大規模な法要などの正装時、祭典・儀式に用いる正式な履物。大僧正は緋色を履きます。
装束の重み
法衣や袈裟は、古来の製法により、年々数を減らす職人の手で、一点ずつ仕立てられます。参考までに、金襴の七条袈裟は三百万円前後、紋付の緋色法衣(生絹・せいけん)で五十万円前後と、けっして見栄で纏えるものではありません。装束の重みは、そのまま、それを許された僧侶の歩みの重みでもあります。
装束は、宗門の規律
近年、法衣や袈裟がオークション等で取引され、宗門に属さない方が着用される例も見られます。しかし本来、僧侶は好みで法衣・袈裟を選べるものではありません。紋付の有無、金襴の可否、法要や儀式ごとの着用種別、そして僧階による着用の可否まで、宗門の規則によって厳格に定められています。
法衣・袈裟は、法衣店の担当者から直接あつらえるフルオーダーが基本で、道教真言宗総本山 天保山慧尊院にも指定法衣店があります。
ご注文の際は、道教真言宗総本山 宗務までお尋ねください。
桔梗紋は、道教真言宗総本山 天保山慧尊院が用いる紋です。装束は宗門と僧階を示すものであり、その資格を持たぬ者が任意に纏ってよいものではありません。
志ある者を、総本山が支える
このように、装束には相応の重みと費用が伴います。けれども、それが志ある者の歩みを妨げることのないように――道教真言宗総本山 天保山慧尊院では、総本山に奉職する者に、法衣・袈裟を貸与または給与いたします。
装いは、修行を経て、許されて、初めて纏うもの。その日を目指す方を、当総本山はお待ちしています。