位階について
僧階と位階
僧侶には、その歩みと務めに応じた位があります。修行の段階を示す僧階のほか、教学の深さを示す学階、布教の任を示す教階など、いくつかの位が重なって、一人の僧侶の歩みを表します。ここでは、その体系をお伝えします。
僧階(そうかい)とは
僧階は、僧侶の階梯を表す位です。最高位の大僧正から、教師試補に至るまで、十六の級に分かれています。位が上がるほど、纏うことのできる装束の色も改まり、最高位の緋色は大僧正にのみ許されます。
僧階は、修行と研鑽を重ねた歳月の証であり、同時に、人を導く責任の重さを表すものでもあります。
重なり合う位 ―― 僧階・学階・教階
僧侶の位は、僧階だけではありません。それぞれ異なる側面を表す、複数の位が重なります。
- 僧階(そうかい)― 僧侶としての階梯。大僧正を最高位とする。
- 学階(がくかい)― 教学の深さを表す位。碩学を最高位とし、学匠・都講・司講・補講と続く。選考と審議を経て授けられる。
- 教階(きょうかい)― 布教の任にあたる者の位。主教を最高位とし、弘教・示教・司教・補教と続く。
- 特遇称号(とくぐうしょうごう)― 宿老・学頭など、特に遇される者に贈られる称号。
これらは、その僧階にある者すべてが等しく持つものではなく、それぞれに協議を経て、任命あるいは贈呈されます。
僧階の階梯(全16級)
| 級 | 僧階 | 学階 | 教階 | 法衣の色 |
|---|---|---|---|---|
| 1級 | 大僧正 | 碩学 | 主教 | 緋 |
| 2級 | 権大僧正 | 碩学 | 主教 | 紫 |
| 3級 | 中僧正 | 学匠 | 弘教 | 紫 |
| 4級 | 権中僧正 | 学匠 | 弘教 | 紫 |
| 5級 | 少僧正 | 都講 | 示教 | 紫 |
| 6級 | 権少僧正 | 都講 | 示教 | 紫 |
| 7級 | 大僧都 | 司講 | 司教 | 緑 |
| 8級 | 権大僧都 | 司講 | 司教 | 緑 |
| 9級 | 中僧都 | 司講 | 司教 | 緑 |
| 10級 | 権中僧都 | 補講 | 補教 | 緑 |
| 11級 | 少僧都 | 補講 | ― | 緑 |
| 12級 | 権少僧都 | ― | ― | 緑 |
| 13級 | 大律師 | ― | ― | 水 |
| 14級 | 律師 | ― | ― | 水 |
| 15級 | 権律師 | ― | ― | 水 |
| 16級 | 教師試補 | ― | ― | 茶 |
最高位の大僧正は、僧階・学階・教階それぞれの頂点(大僧正・碩学・主教)を併せ持ちうる、僧侶の到達しうる最上位です。
詠階(えいかい)― 御詠歌の位
僧侶の位には、御詠歌(ごえいか)に関わる詠階もあります。詠歌・和讃をもって仏徳を讃え、人々に仏の教えを伝える道における位です。
詠階は、上位より ―― 詠監・詠監補・詠匠・詠匠補・詠真・詠道・詠伝・詠範・詠教・詠修、そして准教師と続きます。詠匠までは昇補に試験(筆記・実技)を要し、詠監補より上は審議を経て授けられます。
御詠歌は、節をつけて仏を讃える、祈りのもう一つのかたちです。経や護摩とともに、人の心に仏の教えを届ける大切な道であり、詠階はその精進を表す位です。
装束の色は、僧階を映す
僧階は、装束の色に表れます。緋色を最高位とし、紫色・緑色(萌黄)・水色(浅黄)・茶色と定められ、自らの僧階より上の色を着用することはできません。色を見れば、その僧の位がわかる――それが、僧侶の装束の意味のひとつです。
修行を経て、位に至る
僧階や位は、求めて得るものではなく、修行と研鑽の積み重ねの果てに、許されて授かるものです。当総本山で僧侶を志す方は、得度に始まり、受戒・四度加行を経て、伝法灌頂により伝法阿闍梨位を授かります。そこからさらに歩みを重ねた先に、これらの位があります。